大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 平成2年(わ)2333号 判決 1991年2月01日

本籍

大阪府藤井寺市道明寺五丁目二六四番地

住居

大阪府柏原市片山町一番七五号

年齢

昭和六年一一月七日生

職業

会社役員

被告人

遠藤繁一

検察官

梶山雅信

弁護人

磯野英徳

主文

被告人を懲役一年六月及び罰金四〇〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告人は、大阪府柏原市片山町一番七五号に居住し、コンクリート製造業を営む伸栄生コンクリート株式会社を経営する一方、株式取引を行っていたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、

第一  昭和六一年分の実際総所得金額が九二九二万二〇九八円あった(別紙(一)総所得金額計算書及び修正損益計算書参照)のに、株式取引による雑所得の全部を除外するなどの方法により所得の一部を隠した上、昭和六二年三月一二日、大阪府八尾市本町二丁目二番三号の所轄八尾税務署において、同税務署長に、昭和六一年分の総所得金額が一二〇八万五〇〇〇円で、これに対する所得税額が二九万七四〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させた。その結果、同年分の正規の所得税額四九四九万九三〇〇円と右申告税額との差額四九二〇万一九〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れた。

第二  昭和六二年分の実際総所得金額が一億一八七一万七八〇三円あった(別紙(二)総所得金額計算書及び修正損益計算書参照)のに、第一と同様の方法により所得の一部を隠した上、昭和六三年二月二四日、前記八尾税務署において、同税務署長に、昭和六二年分の総所得金額が一四九三万五〇〇〇円で、源泉徴収税額を控除すると八万四八七九円の還付を受けることになる旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させた。その結果、同年分の正規の所得税額五九一六万五七〇〇円との差額五九二五万五〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れた。

第三  昭和六三年分の実際総所得金額が一億一八九〇万六五三七円あった(別紙(三)総所得金額計算書及び修正損益計算書参照)のに、第一と同様の方法により所得の一部を隠した上、平成元年三月二日、大阪府八尾市高美町三丁目二番二九号の所轄八尾税務署において、同税務署長に、昭和六三年分の総所得金額が二二〇六万円で、源泉徴収税額を控除すると一三万四七四五円の還付を受けることになる旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させた。その結果、同年分の正規の所得税額五四八三万五九〇〇円との差額五四九七万六〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れた。

(証拠)

全部の事実について

一  被告人の公判供述

一  被告人の検察官調書

一  被告人に対する質問てん末書一四通

一  村田美代子、遠藤吉信、羽根維久夫、柴﨑清志、大川博の検察官調書

一  村田美代子、遠藤吉信、遠藤進、里美多鶴子、門野雄彦、森岡悦子、岩切三男、益永千賀子、友保美智子、増原かずみ、尾原修子、杉山和吉、野澤隆、羽根維久夫、寺尾清、柴﨑清志、大島康則、小松清、大川博、小川茂、森川雅博、吉田和盛、綿則男に対する質問てん末書

一  査察官調査書(検察官請求番号8から27、38)

一  電話聴取書

第一の事実について

一  査察官調査書(前記番号29から37)

一  証明書(前記番号4)

第二の事実について

一  証明書(前記番号5)

第三の事実について

一  査察官調査書(前記番号28)

一  証明書(前記番号6)

(法令の適用)

罰条

いずれも所得税法二三八条一項、二項

刑の選択

いずれも懲役と罰金を併科

併合罪

刑法四五条前段

懲役刑について同法四七条本文、一〇条(第二の罪の刑に加重)

罰金刑について同法四八条二項

労役場留置

刑法一八条

懲役刑の執行猶予

刑法二五条一項

(裁判官 三好幹夫)

別紙(一) 総所得金額計算書

<省略>

修正損益計算書

<省略>

別紙(二) 総所得金額計算書

<省略>

修正損益計算書

<省略>

別紙(三) 総所得金額計算書

<省略>

修正損益計算書

<省略>

別紙(四) 税額計算書

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例